これから家庭菜園を始める方向けに、サツマイモとジャガイモの育てやすい土の準備方法についてご紹介します。土を良くする基本的なポイントや、有機肥料、石灰、化学肥料の使い方について解説します。
サツマイモのための土づくり|砂地向け
サツマイモの土の基礎
サツマイモは、よく日が当たり、水はけの良い場所で元気に育ちます。
栄養の少ない土地でも問題なく育つのが特徴です。
火山灰土や砂地のような水はけの良い土が最適で、水はけが悪く栄養が豊富な粘土質の土では育ちにくいです。
サツマイモは同じ場所での再栽培にも強いです。
サツマイモの土づくりでは肥料を控えめに
サツマイモはあまり肥料を必要としないので、以前に肥料をあまり使っていない土地が適しています。
肥料では、窒素よりもカリウムを多めにすることで、大きな実がつきやすくなります。
窒素が多すぎると植物の茎や葉ばかりが育ち、実の成長が悪くなります。
カリウムを増やすには、草木灰を使うか専用の肥料を使いましょう。
堆肥を使うと、土の通気性や水はけが良くなりますが、窒素が多い肥料は使いすぎに注意しましょう。
サツマイモは酸性の土が好き、石灰は控えめに
サツマイモは酸性の土でよく育つので、理想的なpH値は5.5~6.0です。石灰を使いすぎるとpH値が上がりすぎてしまい、生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
サツマイモの土づくり方法
サツマイモは湿気に弱いので、畝を高く作ることが推奨されます。特に水はけの悪い土地では、畝を高くしてください。
畝は高さ30cm、幅60cmにして、一列に植えます。
サツマイモは黒マルチ栽培をおすすめ
サツマイモを育てる際には、黒マルチを使うと良いでしょう。黒マルチを使うと地温が上がり、雑草の生えるのを防げます。
地温が高い方がサツマイモはよく育ち、雑草の管理も楽になります。
苗がしっかり根付くまでは、水分が重要です。土が湿っている時にマルチをするのがベストです。土が乾いている場合は、マルチを施す前に水やりをするか、雨が降った後に行うといいでしょう。マルチを施した後は、水やりが難しくなることがあるので注意が必要です。
ジャガイモの土作り
ジャガイモの土づくり方法
ジャガイモは、十分な日光と良好な排水性を持つ土壌で健康に育ちます。砂地のような水はけの良い土で良く育ち、湿度が高くなる粘土質の土では育ちにくいです。
ジャガイモは連作障害を起こしやすいため、同じ場所での栽培は2~3年に一度に留め、特にナス科の野菜が前に植えられていた土地では連続して栽培しないようにしましょう。
ジャガイモの土での石灰使用は控えめに
ジャガイモは酸性の土を好むため、必ずしも石灰を施用する必要はありません。適切な土壌酸度(pH値)は5.0~6.0で、石灰を過剰に使用すると土壌がアルカリ性に傾き、病害のリスクが高まります。石灰を使用する場合は土壌の酸度を事前に測定し、必要な量だけ施用しましょう。
ジャガイモの土づくりには完熟堆肥を
ジャガイモの土づくりには、水はけと通気性を改善するために完熟した堆肥の使用が効果的です。牛糞堆肥や腐葉土などがおすすめですが、未熟な堆肥の使用は避け、完熟したものを選んでください。未熟な堆肥を使用すると、病害にかかりやすくなる可能性があります。
ジャガイモの土で肥料はカリウム重視
ジャガイモは少ない肥料でも良く育つため、元肥には窒素よりもカリウムを多く含む肥料を施用すると良いです。窒素が過多になると葉ばかりが茂り、実が育たなくなります。カリウムは草木灰や硫酸カリなどで補うことができますが、塩化カリの使用は避けましょう。初心者や準備が面倒な方は、ジャガイモ専用の肥料を使用すると便利です。
ジャガイモの土作り方法
ジャガイモの根が深く張るため、土壌を20~30cmの深さまでしっかりと耕しましょう。土中の石やごみ、植物の残渣を取り除いて、良い土壌環境を作ります。畝は幅60cm、高さ10cmに設定し、種イモを一列に植えます。堆肥と肥料は同時に散布し、ジャガイモの種と直接触れないように注意してください。種イモが肥料に触れると、肥料やけが起こり、種イモが傷んでしまう可能性があります。
肥料の適切な施し方
肥料の散布方法には、大きく分けて2つの方法があります。一つ目は、植え付けの2週間前に肥料を全面に散布し、土とよく混ぜ合わせてから耕す方法です。これにより、土全体が肥料で均一に栄養を得られるようになります。二つ目は、ジャガイモの種を植える際に、種と種の間、つまり株間に直接堆肥と肥料を散布する方法です。この場合、肥料の塊が残らないように細かくほぐしてから土に混ぜ込むことが大切です。これにより、ジャガイモの成長に必要な栄養を直接的に供給することができます。
ジャガイモの黒マルチ栽培法
ジャガイモを黒マルチで栽培する方法もあります。この方法にはいくつかの利点があります。黒マルチを使用すると、地温が上がり、ジャガイモの生育が促されます。また、雑草の生長を抑制し、管理が楽になるほか、光を遮断することで種イモの緑化とソラニンの生成を防ぎます。さらに、土寄せ作業が不要になり、水分を一定に保持できるため、肥料の流出を防ぎ、追肥が不要になる場合もあります。
しかし、黒マルチ栽培のデメリットとしては、高温障害が発生しやすい点があります。特に夏場など高温になりやすい時期には、地温が過度に上昇し、ジャガイモが腐ったり、味や保存性が悪くなる可能性があります。黒マルチを使用する際は、これらの点を考慮し、特に高温に注意しながら栽培環境を管理することが重要です。
最後に
適切な管理と注意を払うことで、サツマイモもジャガイモも健康に育てることが可能です。家庭菜園での成功へ向けて、これらのポイントを活用してみてください。